今夜は、高齢者を持つご家族、そして企業の方に知っていただきたい!
とおっしゃるNPO法人cocoroito(ココロイト) 
理事長 桝谷武志さんがゲストです。

ウ:こんばんは、よろしくお願いします。

桝:こちらこそよろしくお願いいたします。

ウ:では自己紹介をお願いしたいんですけども。

桝:今ご紹介いただきました、NPO法人ココロイトの理事長をさせていただいてます桝谷武志(ますたにたけし)と言います。よろしくお願いいたします。

ウ:はい、そのココロイトというNPO法人について今日はお話を聞かせていただきたいんですけど、冒頭にね、高齢者を持つ家族の、っていうお話をさせていただいたんですけど、具体的にはどういったNPO法人なんですか?

桝:2014年から任意団体として活動しておりました。一昨年、2017年の12月1にNPO法人を設立いたしました。対象者は高齢者の方なんですが、ものを作る教室、編み物教室を開催しておりまして、場所は堺市の白鷺団地の中でやっております。編み物教室は四年目となります。

ウ:そうなんですね。

桝:はい。そこで色んな企業さんたちに協力していただきまして、編み物の技術というのを再度思い出していただいたり、覚えていただいたりする場所を作る。その先にはですね、企業や学生たちと協力して作り上げた商品のデザインの、そのものの制作に関わっていただき、
最終的には技術料をお支払いするという、そういう仕組みを作ろうという事で、活動しております。

ウ:なーるーほーど。桝谷さんのお仕事って、ここに直接関わってるようには思わなかったんですね。まだ聞いてないんですが、ご本業ってまた別にありますよね?

桝:本業の方は、衣料品、服ですね、アパレル企画製造、販売の会社を経営しております。

ウ:それがなぜ?って思いますよね。

桝:はい、よく聞かれます。桝谷さんなんぼ儲かんのとかね。

ウ:あはは!いやそれよりも、学生さんと繋がって、というところがとっても不思議なんですけど。

桝:はい。当初この活動をするきっかけなんですが、私自身が衣料品、繊維関係の仕事をしてまして、大阪府の物づくり支援課さんが音頭をとって、大阪中央区にある船場。ここはもともと繊維産業の中心だったので、今疲弊してる繊維業界を、もう一度盛り上げようじゃないかということで、行政さんと、関西ファッション連合さんという組合さんと、私たち民間の企業が集まって、何か出来ひんかなって活動をしてたんですね。
その活動をしている中に、りそな銀行の方がおられまして、その方が大阪府立大学の方に出向されて、授業を持っておられたんです。で、その方が、その時白鷺団地で活動してたフィールドワーク。学生たちが色んな事をしてたんですが。

ウ:そうなんですね!

桝:UR開発さんが公団住宅の管理をしてるんですが、昭和38年に建てられた、凄い古い団地だということで。

ウ:私も地元が近いので、すごく古い団地で学校がそばにあるなという認識はあります。

桝:で、2500戸くらいあった団地を半分に減らすと言う方向性が決まった時に、元々住まわれてる方、無くなるところから移転された方の意識調査をしてほしいという依頼があって、学生さんを使って調査をしたところ、ご高齢の方々はそんなに不満もないし、年金だけっていうのも申し訳ないかな。それよりも社会参画したいんだという声が多かったと。本当に、そのような答えが返って来るとは思ってなかったということを言われてました。

ウ:あ、学校側が?

桝:そうですね、URさんの方もですね。

ウ:なるほど。

桝:そこでじゃあ何か手軽に仕事をできないかとなった時に、ご高齢の方々がミシンが踏めるということで、私と顔見知りだった方が、内職出来ないかということで、私のところに相談に来られました。私たちもご高齢の方に内職出してたこともあるので、これは仕方がない事なんですが、目が少し悪くなるので黒と紺の識別がつかないとか。流行の流れの早いファッション産業で、安い工賃で時間に追っかけられてやるのがほんとにいいのか、そういうことについていけないでしょう、ということをお伝えして。
で、当時たまたまフランスで、ゴールデンフック、金のかぎ針という、好きなおばあちゃんにニット製品を編んでもらおうというコンセプトで企業活動をしてた会社があって、それをお伝えしたんです。

ウ:ふーん?

桝:それは何かっていうと、ホームページ上におばあちゃんたちの顔写真があって、販売するニット製品の写真があって。例えばニット帽をおばあちゃんに編んでもらいたい。おばあちゃんは自分たちのプロフィールを書いてあるので、ロックが好きよとかサイクリングが好きとか。オーダーした時点から、メールでのコミュニケーションが始まる。今日は暑いけどおばあちゃん大丈夫?とか、ここまで進んでるよとか。そんな話が始まる。

ウ:社会の一部にちょっと戻れるって感覚ですね?

桝:はい。で、それをお伝えしたところ、前学長がこういう事がやりたかったんだという声があったらしいです。で、その当時2014年に、コミュニティデザイン研究所というのが、大阪府立大学の中に開設されました。その準備をされてたようなんで、私も入らないかということで。今の活動をする事を目的に入ったのではなくて、客員研究員という証明書がいただけるなら、ということで。

ウ:へへへ!

桝:軽ーい気持ちで入らせていただきました。

ウ:人が何かをするきっかけって、些細なことだったり、その先を想像してなかったりって事ってありますよね?そのような形で、府立大学の学生さんと活動されるようになったんですけど、先ほどからご高齢ってお話出てますけど、いくつからいくつくらいの方なんですか?

桝:そうですね、70前後から、80ちょっとすぎくらいの方が今参加されておられます。

ウ:男女比率っていうのは?

桝:100%女性ですね。

ウ:わぁー元気ですもんね。うちの母も70過ぎてますけどパッチワークはするし、編み物はするしって、何かをしたい、人と関わりたいと思ってやってることが多いと思うんですけど。じゃあ、元々持っている自分の技術に、足りないもの補っていくっていう感じになるんですか?

桝:そうですね。私たちが当初教室始めた時には、商品を販売してお金儲けしませんかっていうのは一切言わなかったんです。

ウ:あ、そこは隠してたんですね?

桝:まっったく隠してて。運営メンバーの中でも、それはそうやねということで、開催してからも何も言わず。参加される方々もなんでこんな事してくれるんやろね?というような。

ウ:あ、そうかそうか、私らのためにわざわざこんな場所開けてくれて、教えてもうて、とかって思ってはったんですね。

桝:そうですね。そういう活動をしていく中で、色んなメディアさんに、情報を伝えることができまして。

ウ:プレスリリースができたんですね。

桝:そうですね。一番最初はりそな銀行さんにしていただいたんですけども。それがきっかけで、産経新聞さんに全国版に載せていただくことができたり、三菱総合研究所の調査対象になって、厚生労働省の、団地を元気にするガイドブックの一つの事例に紹介していただいたり。

ウ:おぉー!メディアの力はすごいですねー。

桝:そうですね。私たちは今活動を始めて5年目になるんですが、よく、どういう風にしたらそういうメディアに出てるんですかって聞かれるんです。元々そういうことを考えてたわけではなかったんですが、このきっかけで、色んな多くの○○さんが見ていただいたという事なんです。

ウ:へぇぇー。

桝:それともう一つは、この活動自体が、今はNPO 法人ココロイトとなってますが、一般の企業の代表者、関西の6社が集まって動かしております。これも非常に珍しい組織運営だということで、それも注目されてるという事ですね。

ウ:そうなんですね。元々は任意団体で、そこからNPOにしようと思ったのには何か理由があったんですか?

桝:二つあるんですが。ひとつはですね、物を販売するにあたって、任意団体の時に代表として私は呼ばれてたんですが、この、代表の桝谷というのは、何物ぞと。怪しいよねと。

ウ:はは!なりますよね、大人の社会ですからね。

桝:そういうのがあったということ。もう一つはね、昨年度、ソーシャルビジネスプランコンペという、大阪NPOセンターというところが主催した、全国からこういうソーシャルビジネスをされてる団体が集まるコンペがあったんですね。そこで準グランプリをいただきまして。

ウ:すごい!おめでとうございます。

桝:ありがとうございます。それと大阪シティ信用金庫賞というのをいただきました。それがきっかけの一つとなりまして、これからはしっかりと素性がわかって。かつ、今までの活動もそれに繋げていって、ご協力いただける企業さんであるとか法人さん、団体さんであるとかという方々と、共に広げていきたいという思いがありましたので、昨年度法人化させていただきました。

ウ:なるはど、そこに至るまでにもご苦労があったかなと思うんですけども。

桝:いや、それがこのメンバー、各々が持ってるスキルを使ってこの活動を支えてるという感じなんですね。それぞれが事業を持ちながら。

ウ:そうですね、しっかりした母体を持たれている方々ですもんね。

桝:なのでそれぞれがすごく力を出していただいてるので。元々この構想を考えた時に、えらいこっちゃと。こんなんひとりでできひんわというところがあったんですよ。

ウ:あはは!やっぱりそれはあったんですね。

桝:もちろんです。関西の企業さんのところを回らせていただいて、色々とこの話を、まぁ夢を語って妄想しながらやってました。ただ関西の方の企業さんて言うのは、少し元気がないところもあったので、関東、東京の方に行かせていただきまして。

ウ:ちょっと飛んだんですね、お江戸へ。

桝:そうですね。材料と先生と販売と、のことを考えて。一番最初にハンドクラフトのクリーマーさんにお伺いさせていただきました。メンバーの繋がりがあったので。そうしますと、ものの30分もせんうちに、参画させていただきますと。専用のホームページも作りますということで。まだ若い責任者の方だったんですが、私たちよりも経験があるので、対象がご高齢者の方なんで急がなくていいですよとちゃんと作り上げてくださいねとご援助いただいて。まぁびっくりしたというのが本当の感想なんです。

ウ:動き出すと仕組みって、周りからわわわって感じで支えられてできていくもんなんですね。

桝:そうですね。

ウ:やっぱりちょっと怖くてできないなということもあったりするんですけども。運営を始めてから、大変だなってこともなくはないと思うんですけども、楽しいなという事の方が多いですか?

桝:そうですね、ちょっとずつですが、前に進んでいってる。やはりひとつの企業体という組織になっているんですけども、時間という、ここを早く、早く行かなければいけないんですが、対象とするご高齢者の方であったりとか、仕組みであったりとかっていうのを、しっかりと作り上げていくっていう事がまず大事かなと。それぞれが企業をやっているというのもひとつの助けになっているっていうのは感じるところですね。

ウ:知恵が集まっているということですよね。

桝:そうですね、はい。

ウ:急いでコケてしまうのも怖いですよね、事業としてやっていくのにはねぇ。期待持ちますものね、おばあちゃまたちもねぇ。

桝:はい、すごく喜んでいただいています。私たちが心配していたのは、こういうものづくりをして収入を得る。内職的にはなるんですが、そういう事を望んではるのかどうかという事。何も言わずに始めた教室の中でそういうことを伝えたときに、どういう反応があるのかなというのが、すごい怖かったんですが。
その中でも、メディアに出たこと。先月は堺市の市長とのふれあいトークというのに参加せていただきまして、市長さんの前でプレゼンをすると。それを聞かれてた住民の方、参加者の方もおられて、ありがとうという言葉を聞けて。早く作ってねと言う人もおられたり。それを聞くとホッとしたというか、すごい嬉しかったですね。

ウ:そうですかー。現在の活動もそうなんですけども、後半は具体的に、今後どんな風に活動されていくのかというお話を聞かせていただきたいと思います。引き続きよろしくお願いします。

桝:よろしくお願いします。

ウ:前半はNPO法人になったきっかけについてお話70代80代のおばあちゃんたちが賃金を得られるってなったときのお話を聞きたいんですけど。

桝:ひとつは商品にバリエーションがまだできてないということと、契約書類司法書士さんとここでは言えない、面白い契約書類作ってます。

ウ:アハハハ。

桝:頼むとめくら判を押されることが多々あると。ちゃんと私たちが作ったものを100%受け取れないという状況は予測できますので、これは少し目が飛んでるからダメですよとか。

ウ:なるほど。

桝:サイズが出てませんよということを、しっかりとお伝えする書面も全部作るんですけども。それをやってたとしても、ご家族の方が、おばあちゃんなんぼもうてんのと言われたときに、全然お金にならへんねん、ってその一言が出ることによって、ご家族の方からしたら、ちょっと騙されてるんちゃうかとかね。

ウ:今の時代ですもんね。

桝:そういうことのないように、きちっとご家族さんにも伝わるような契約書ということで、色々とメンバーみんなで考えたものを司法書士さんにも来ていただいて、こういう形で作りたいんです…

ウ:ですね。

桝:言えないんですけども、それが今着々とできておりまして。

ウ:準備はなさっている。

桝:そうなんです。

ウ:あのしっかりしているようでも、うちの母なんかもそうですが70を超えると、いろんなものに、保証人が必要なんだという事がわかったので、やはりきちんとご家族も楽しくやってるんだなと理解できるもがいいと思います。

桝:そしてご家族の方の応援をいただければ、今は堺のほうで200名くらいの人が従事できるようになるのが目標ですね。

ウ:ほーーーー!なるほどー。

桝:そこまでできたら、全国に広げたいという思いを持っています。

ウ:じゃあ具体的に広げ方や現状をを伺ったんですけども、どんな方に参加してもらうといいかなーというのはあるんですか?

桝:参加していただく方はほんとにご高齢の方で、物を作るという事。今は編み物ですが、それをしてみたいという事で、緩い感じで参加していただくのは、どなたでもいいんです、本当に。

ウ:女性が多い、100%女性とおっしゃってましたが男性が混じることも考えてらっしゃるんですか。

桝:混じっていただいても大丈夫だと思います。

ウ:はーーーー。

桝:あのその年齢で編み物をされる方ってほとんどおられないので、この編み物で販売までができると、盆栽とか陶芸とか木工とかそういうことまで広げていく予定です。

ウ:なるほど、モノづくりなのでね。

桝:ご高齢の方たちは、どうしてもお友達が自然と少なくなってしまうので、一つの目的というか、趣味という共通の話が簡単にできる。

ウ:昔はあったはずのコミュニティですよね。

桝:そうなんですよ。そこに三世代が集まる。ご高齢の方々、子供世代で管理をして。今は大阪府立大学さん、芸術大学さんはハイパープロジェクトということで、参加すると単位が取れるんですね、私たちの活動に。

ウ:あはは!よくできたシステムですね。

桝:そうなんです。すごく応援していただきながら、求められる事をどれだけできるかなという事で協力しながらやらせていただいてます。あと運営側としては、私たち今は6社で運営しておるんですけども、そういうチームを組んで地域で運営していただける方々が…

ウ:サポート側ですか?

桝:他の地域に出てきてくれればいいかなと思っております。

桝:色んな先さんでプレゼンさせて頂きますと、私たちの地域でも出来ませんかというような声はよくはやりよくいただきます。

ウ:同じような自分たちのエリアでって、たまたま白鷺のの堺市の団地ですけど、応援する企業さんはエリア問わずですか?

桝:エリア問わずです。ただ私たちも人数と時間に制約があるので、やはり本当にそこを一度来ていただいて、私たちの趣旨を理解していただいて。そしてそれを地域でどう展開していくかということを話し合えるような、企業さんでも団体さんでもいいですし、地域の方々が集まってやるっていうのも。私としては…。

ウ:そうですねー。自治体自体が高齢化が始まっているとか、団地からどんどん人が抜けて寂しくなってるっていう現状は聞きますしね。

桝:やはり皆さんご高齢になっても少しお仕事に行かれたりとか、子供世代の方々も40代50代でまだ働き盛りなので、なかなかそういうことに参加できないという事もあるんですが。ただその中でもしっかりと目的を持って、日曜日だけでもサポートしていただけるような方々。

ウ:そうですね。言い換えれば、自分は作れないんだけれども、何かのお世話はできるよとかね。そういう高齢者の方も社会に関わって行くって大事ですよねぇー。

桝:そうですね。仕組みづくりも含めて、展開も含めてまだまだ考えなあかんことがようさんあります。

ウ:なるほど、課題もあるということですね。先ほどから何度かお話に出ている編み物教室さんの方は定期的に開催されているんですか?

桝:日曜日朝の10時から12時まで白鷺団地でやっております。
日にちに関しては自治会の催し物とか私たち企業側の都合もありまして、固定にはなってないんですが、必ずホームページに翌月の開催月は掲載しております。

ウ:なるほど、詳しい内容は私の方もまたお伺いして、私のホームページとフェイスブックでもシェアさせていただきたいと思います。
興味のある方はご覧になっていただけたらいいかなと思います。桝谷さん今日は本当にありがとうございました。

桝:こちらこそありがとうございました。

桝谷さんの情報

特定非営利活動法人cocoloito(こころいと)→https://cocoloito.jp/

2018年7月29日開催/39回編み物教室開催情報→https://cocoloito.jp/archives/4981

編み物教室での作品

 

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